『自分を変える、組織が変わる』 修了生の活躍特集 第一回/後編 ~齊藤 勝二郎さん(3期生・株式会社アルプス技研 経営企画部 経営企画課長)~

日工大MOTには、様々な立場の方が入学します。経営者/後継者、企業派遣の部長・課長クラスのビジネスマン、起業組や起業予備軍・・・

その中でも、ある意味最も、『ビジネススクールらしさ』をイメージするのは、自分の所属する組織でのキャリアアップを目指して入学される方々ではないでしょうか。

MOTでの勉強や経験を活かし、社内でのスキルアップを実現させた事例として、3期の齊藤さん(株式会社アルプス技研 経営企画部 経営企画課長)へのインタビューを行いました。

今回は前編に引き続き、後編として、卒業後の、MOTを活用したキャリアアップの道のりについてインタビューします。


MOT在学中の出向~NEDOでの充実した3年間

Q:これまで(前編)では、入学を決めてから卒業するまでを伺いましたが、後半では、卒業後にMOTでの経験をどのように自分のキャリアに活用し、現在に至るかを教えていただきたいと思います。

齊藤:

派遣期間が満了すると同時に、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)に出向するチャンスを頂けました。プロジェクト主査として3年3か月、主に福祉分野向けロボットの委託・調査・推進を担当しました。仕事の内容は技術マネジメント、事務処理、審査や採択、採択後のフォローアップ等、多様を極めましたが、これにMOTで学んでいることがバッチリとはまりました。技術者の視点からマネジメントを考える習慣が大きく役立ったと思います。ロジカルシンキングやアイディアの発想法、各種のフレームワーク、SWOT分析や競争戦略等を通じて、委託先の強みや弱みを分析し、プロジェクトの頓挫リスクに対して早めに手当てをする能力を発揮できたと思います。

出向を終え、自社内でのジョブチェンジ

Q:3年余りの出向経験で大きく成長されてから、自社内(アルプス技研)に戻ってこられましたね。

齊藤:

自社に戻ってきてからは、経営企画課に配属されました。最初の2年間は、新規事業の企画立案を任命されました。俗に『新規事業は千みっつ』と言われ、極めて成功確率が低いものです。その中で『1週間に3つは新規事業のプランを考える』を上司との約束として頑張りました。最初は週に1つ位しか立案できなかったのですが、MOTの経験のおかげで、いつの間にか自分の中にビジネスプランを創出するフレームワークが出来上がり、その後は週に約束の3つの新事業立案もこなせるようになりました。こうして提出した新規事業案の中から1つが採択され、今も会社の事業として存続しています。

Q:新規事業立案の後はどのようなキャリアを歩まれたのですか?

齊藤:

30歳代中盤に、次のステップとして、経営企画課としてのいわゆる『ラインの仕事』につきました。経営計画の策定、株主総会対応、取締役会の運営、月次・決算作業、事業施策の立案・管理、グループ企業の経営管理などです。

他に経営企画課の業務として、定常的に取り組んでいるのがM&A業務です。MOTで企業価値の算定に関する基礎的なところは学んでいましたが、それだけでこなせるものではありません。初めて仕事で企業価値の算定を実際に行うことになった時は、DCF法CAPM(Capital Asset Pricing Model:資本資産評価モデル)理論等を、当時のテキストを引っ張り出しながら勉強し直しました。実務に関しては上司にオンジョブトレーニングで補強してもらいながら、現在では事務面では全て自力でこなせるようになりました。当然ですがM&Aには自社・相手先双方の法務、財務の専門家、弁護士や会計士といった外部プロフェッショナルとの連携も必要になりますので、ここでもMOTで学んだマネジメントの知識が役立っています。

Q:上場企業における経営企画課の役割は大きいと思いますが、その最前線をマネジメントする『課長』として心がけていることはありますか?

齊藤:

2年前、37歳で経営企画部 IR・広報課長を経て、1年前に現職の経営企画部 経営企画課の課長となりました。当時の課長の中では最年少だったと思います。心がけていることは、経営企画の本質というか『健全性』の意義です。上場企業となると株主も意識しないといけません。特に、2015年からは金融庁と東京証券取引所が取りまとめたコーポレートガバナンス・コードの適用を受け、透明性の高い経営や経営者と株主との対話が益々重要になっていくと思います。前線でそれをフォローするために、社会の動き、経済の動きの情報を常に収集し、バランス感覚を持てるように心がけています。

『自分を変える 組織が変わる』

Q:今回のインタビューのテーマを『自分を変える、組織が変わる』としました。これはMOTでの『自分へのイノベーション』を実行することで、それが自分の属する組織のイノベーションにも繋げていきたい、という気持ちを表しています。齊藤さんにとって、『自分を変えることによって組織が変わる』実感はありますか?

齊藤:

NEDOでの業務においても、経営企画課での業務においても、自分が何に頼っているか、それは『NITで学んだ知識・スキル・経験』だと思います。NITでの1年間が今の自分のよりどころになっています。

ですから、自分が学校からもらった知識やスキルは、後輩に教えても喜ばれるだろうと思い、困っている顔をしている後輩を見かけたら、時間を見て体系的なノウハウを教えてあげるようにしています。腑に落ちてスッキリした後輩の表情を見ると、凄く嬉しいです。

Q:今日は本当に素晴らしいお話をありがとうございました。最後になりますが、大学院生活を思い出して一言お願いします。

齊藤:

今思い出すと、大学院の1年は、がむしゃらに勉強をして、仕事をして、あれだけ仲間と遊んで・・・夢のような1年間だったと思います。


おまけ:クラスメートから見た齊藤さん&3期生

・齊藤さん、酔えば酔うほど薄着になり(いろんな意味で)強くなる人でした。

・BLACK団、本当に懐かしいです。前に集合してから数年が経っていますので、また団員で集まりたいですね。

・3期生って、飲みに行くついでに授業に出ているような部分がありましたね。

・屋形船に皆で乗った思い出が忘れません。外の景色を見ずに船倉で?盛り上がっていましたね。

・初島での3ゼミ合同合宿が懐かしいです。ステテコ姿の先生方とフラフラになりながら卒論の議論をしましたね。某先生の『他人のビジネスプランを肴に酒が飲めるなんて、こんなに楽しいことは無い』という台詞を今でも覚えています。