今回は、NIT MOTの中ではメジャーなキーワードである『言語化』の効能についてまとめてみました。

 

参考:『思考の整理学』 外山滋比古 著

 

『Ⅴ しゃべる』の中から、いくつか良いインスピをいただきました。

人の思考の深化に思いを馳せる身にとって、久々の良書です。

 

気付きの定義

自身の考えを端的に整理し言葉として発し、第三者に伝え理解してもらう。

合意、あるいは反意もあるかもしれませんが、ともかく言葉を発し合い『対話』が始まる。

これは、NIT MOTの授業でよくあるシチュエーションです。

そうした対話を重ねながら自身の考えをまとめ、他者の意見・知見をも摂り入れながら自身の思考を深掘りし、より純化していくわけです。

この、『他の○○をも摂りいれ..』の部分が、いわゆる『気付き』になるわけですが、気付くとどうなるのか?

そして、気付き続けることによって、人の思考はどのように変わるのか?

このあたりについて考察してみました。

 

授業中の気付き

気付きには2種類あります。

前述のように、他者の知見に触れ、それが触媒的な作用を及ぼし新しい何かが芽生える気付き。

それとは別に、自身が他者に発する言葉に触発され、これまで思ってもみなかった何かが顕在化する気付き。

 

後者の場合、多くは自からの思いを言葉で表明している最中に訪れます。

プレゼン中に、『もっといいこと』を思いついちゃうわけですね。

するとやっぱり、主張する内容も変えたくなってしまいます。

 

だけどそれ、場合によってはプレゼンしている最中の自説の帰結が破綻、つまり当初の結論ではプレゼン内容全体のつじつまが合わなくなってしまう危険性も出てきます。

さて、どうするか。。

最初は、得た気付きをやり過ごすというか、『覚えておいて後でゆっくり吟味する』ことになるのですが、だんだんそうした『刺激』に慣れてきます。

すると、『しゃべりながら考えて、当初の帰結とは異なる内容に向けて話す内容を変えながら全体のつじつまを合わせ、当初とは異なった結論に着地させる』ことができるようになります。

簡単に表現すれば、『話しながらモア・ベターに気付いたので、話す内容を軌道修正しつつ、最終的にはオチをつける』に、なります。

これが出来るようになると満足度も高いので、他の院生と話すのが俄然楽しくなり、お互いに高密度な情報交換が可能となります。

ここで大事なのは、『しゃべりながらオチを変える』能力は、きわめて短時間に完遂する必要があること。

授業の中での議論なので、時間的な制約があります。限られた時間の中でできるだけ早く、精度よく結論を出すことが要求されます。

当然思考は高速回転し、プレゼンシナリオの変更を為すために論理的整合性を確保しつつあらゆる可能性を検討し取捨選択を繰り返すことになります。

 

思考の瞬発力

精神の加速装置。(ショーワな人なら知ってる、009ですねw、あれは思考含む機体全体が加速ですが)

NIT MOT院生にはもれなくインストールされます。

必要に応じ瞬時に起動し、精緻な論理思考の実践が高速に為される。

それがあるから、短時間に高密度な情報共有がかない、より高次な帰結を見出せるようになっていくわけです。

逆に、それがない相手とはコミュニケーション不能という弊害も出てきがちではありますがw

 

学びのチームワーク

プレゼンのテーマは経営に係る内容なので、正解は無いし見解は多々あってよいわけです。

 

『なるほど、そうきたか!それもアリだな!』と、その場の参加者に良質なインパクトを与える主張が表現できればそれで良いのだけれど、これがなかなか難しい。

インパクトの大きさも、受け取り側の固有事情もあるので千差万別になります。

が、『より大きな納得度の高いインパクトを全員に!』な欲求が出てきます。

それが学ぶことに対するモチベーションになります。多くを知ることは愉しい。

 

互いが切磋琢磨しあい、加速した思考の表出を共有することによって、より高次な結論を求め続ける。

それぞれに必要なものは異なるけれど、その場を共有できること自体が心地よいので、学びのモチベーションアップにつながると。

なかなかに素敵な環境です。